1/4のお話
冬を、殺す
冬を
私は冬は嫌いではない
汗が纏わり付くよりは
着込んで震える方がいい。
ただその人は、冬を殺す
きっと1人でいるのが好きなんだろう。
その人はよく
全部燃えるゴミでいい、
燃えるんだから、
燃やすんだから、
燃やせばいい
と言う
後の方の目的語が何かはわからない
ただ、少し嬉しそうに言う
どうにでもなれと思っているのか
どうにでもなると思っているのか
ただ、冬だけ殺す
本当はもっと寒いらしい
冬というのは
おれがいい按分にしているのだと
きっとこの人は1人でいたくないだけで
無印の厚手毛布があれば冬は殺せるらしい
その毛布の中で、待っている
その毛布の中で、殺している
死ぬのを待っているとも言える
ただ私は、冬の意味を伝えたくて
冬がないと春と秋がいる意味がないよ、
と言うと
3/4年間、顔を見なくなった
そろそろまた冬がくると思っていると
ひょっこりその人は現れて
言われてみれば確かにそうだった、と言って
冬がきた
無印の毛布はなくなっていた
冬がきた