Bluetoothのイヤフォンがなくなったお話
泥だらけでも気にせず
肩を上下し
みっともなく笑っていた
ような気がする
目の前でぼとぼと落ちる時間は
めり込めばめり込むほど美化されて
見えなくなる
スマートフォンの画面には
影がうつらない
伏せることでしか目は逸らせない
みんながスマートフォンを伏せるのは
やましいことがあるからではなく
見たくないだけなのかもしれない
スマートフォンのない
どこにも繋がっていない
時間
居場所
いつかはそんな何かをつくりたい
何も隠さなくていい何か
それは改めてハードなものなのか
実はそこら辺に転がっている
ソフトなものなのか
それらすらも分け隔てられていない何かなのか
きっと全部間違っていない
誰も
何も
間違っていない
正しくはないのかもしれないけれど
何も間違えてはいない
と思う
そう思わないとやっていけない部分もあったり
やっぱり目を逸らしたいのかもしれない
スマートフォンからも正しさからも
もしかすると、スマートフォンは
唯一の正しさなのかもしれない
逃げる